第十六章:環境主義の裏にいる共産主義(上)


目次

序文

1.環境主義のルーツは共産主義

  1. 環境保護の三つの段階
  2. 環境主義とマルクス主義のルーツは同じ
  3. エコロジーのマルクス主義
  4. エコロジーの社会主義
  5. 緑の政治―緑は新しい赤
  6. エコテロリズム
  7. グリーンピース―平和運動にあらず

2.気候変動に対する共通認識は神話

a. 気候科学の「共通認識」ができあがるまで

b. 科学界に教義を植え付けるまで

参考文献

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序文

地球は人間に食物と資源を与え、発展できる生活環境を提供している。地球は人類が幾千年にもわたって繁栄することを許容してきた。

人類は自然環境と相互に作用しあう。伝統的な中国文化および西洋文化はどちらも自然と人間の良好な共生を重んじていた。古代中国の学者・董仲舒(とうちゅうじょ)は、『春秋繁露』(しゅんじゅうはんろ)の中で、「地上の全ては人類のために創造された」と述べた。【1】つまり、創造主は、人類に生活する環境を与え、地上のもの全てが人類によって使用されることを目的としていた。同時に、人々は天地の理に則った生活を送らなければならない。すべては節度を持って用い、自分たちが住む自然環境を積極的に維持し、保護する必要がある。

西洋の伝統文化は、創造主が人類に自然環境を与え、自分たちでそれを管理するよう望んだと伝える。従って、人間は自然を尊び、上手に利用しなければならない。一方、伝統的な中国文化によれば、万物にはバランスがあり、また損害を避けるための緊急事態もある。儒教の書『中庸』は次のように説いている。「万物は並び育(やしな)われて相害(あいそこな)わず、道は並び行われて互いに相悖(あいもと)らず」(萬物並育而不相害,道並行而不相悖)。自然は対立や混乱を招かず、独自に均衡を保ちながら道理にそむくことなく営みを続ける。【2】

古代中国人は環境保護を重視していた。古書によると、古代の帝・禹(う)の頃、「春の三カ月間、森が成長できるように、人々は森へ斧を持っていかなかった。夏の三カ月間、魚たちが繁殖できるように、人々は川に網を張らなかった」という。【3】

儒学者の曾子(そうし)曰く、「樹木は時が来た時に伐採し、禽獣は時が来た時に屠殺することができる」。【4】つまり、伝統的な中国人はすべてに節度を持ち、自然環境を大事にし保護することを重んじていたのである。

産業革命後、公害による自然環境破壊が起き、西洋の科学者たちはこの問題に取り組み始めた。環境保護法が成立すると、工業汚染は抑えられ、自然環境は劇的に改善した。その過程で、環境保護に対する人々の意識も目覚め、環境を保護することは正しい道だという共通の認識が生まれた。

われわれは、いくつかの概念を区別しなければならない。環境保護、環境運動、環境主義である。環境保護とは、名前が示す通り、環境を保護することである。人類の創世記より人々はその必要性を認識しており、政治的なイデオロギーとは何の関係もない。

環境運動とは、環境問題を取り巻く社会的あるいは政治的な運動である。その主たる目的は大衆運動や政治的な扇動、メディアなどを駆使して環境政策、人々の考え方、習慣を変革させることである。

環境主義とは環境を保護し、人類社会とエコロジーの共生の必要性を説く哲学あるいはイデオロギーである。環境保護と環境主義の裏にある動機は共産主義とは異なる。しかし、共産主義はそれらの大衆運動を乗っ取り、彼らの利益になるように操ることには長けている。われわれは、現代の環境主義が始まった頃から、共産主義が系統的に環境運動を吸収していったのを見てきた。

今日、環境主義を取り巻く問題は非常に複雑である。環境運動はセンセーショナルな言葉で人々の環境を守りたいという本能を刺激し、グローバルな政治運動を展開している。多くの賛同者は善意から、あるいは正義感から将来の人類社会を真剣に憂えているだろう。

しかし、多くの人が気づいていない点は、共産主義者が環境主義を利用して道徳的に優位に立ち、自分たちのアジェンダ(行動計画)を推し進めていることである。これが、なぜ環境保護が政治色の強い、極端な、宗教的な運動になったかの所以であり、まさに伝統的な道徳観に欠けている。誤解を招くプロパガンダや強制的な政治手段が横行し、環境主義はまるで「軽めの共産主義」である。

この章では、イデオロギーとしての環境主義がいかにして共産主義と結びついたのか、またどのようにして環境主義運動がハイジャックされ、操作され、共産主義の目的のために吸収されていったのか、またこれが継続した場合にもたらされる影響について検証していく。

1. 環境主義のルーツは共産主義

共産主義は人類を破滅させるために、各分野に非常に入り組んだ準備を仕掛けた。共産主義はヨーロッパを発端に暴力的な革命を起こし、東方の二つの強国を支配した。つまり、ロシアと中国である。共産圏と西洋社会は冷戦という長い対立の時代を迎えた。ソ連と東欧共産圏が崩壊した後、共産主義は東方と西方の両社会に自分の遺伝子を埋め込み、厳格にコントロールできる世界政府の樹立を目論んだ。

そのためには、共産主義は人類を脅かす「敵」を作らなければならない。敵があれば、大衆に個人の自由や国家の主権を手放すよう恐喝できる。迫り来る自然災害を誇張して世界中をパニックに陥れることは、共産主義の目的達成にとってなくてはならない道だった。

a. 環境保護の三つの段階

環境運動の形成と発展は、共産主義と表裏一体で繋がっている。具体的に言うと、その発展には三つの段階があった。第一段階は理論を草案する時期で、カール・マルクスとエンゲルスの『共産党宣言』が出版された1848年から1970年の初のアースデイ(Earth Day)までである。

この段階の初期の頃、マルクスやその弟子たちは環境主義が彼らの理論の焦点になるとは考えていなかった。しかし、マルクスの無神論や唯物主義は、環境主義の特質と自然に一致したのである。マルクスは、資本主義は自然に(つまり自然環境に)反すると言った。マルクスの弟子は「エコシステム」(生態系)という言葉を造り、環境主義を一部の学問にこっそりと紛れこませた。そこで、環境主義は機が熟するのを待った。

この段階の最後の時期、1960~70年にかけて、アメリカでは二つの本がベストセラーになった。『沈黙の春』(1962年)と、『人口爆弾』(1968年)である。環境主義が「環境保護」の名のもとで、表舞台に出たのである。

第二段階初期の主な出来事は、1970年に設定されたアースデイである。そのすぐ後、1972年にスェーデンのストックホルムで国連人間環境会議が開かれた。この頃、多数の環境団体が生まれ、彼らの活動は活発になった。彼らは欧米でプロパガンダや積極行動主義を推し進め、科学研究、法律、会議などの名目で政府に圧力をかけた。

マクロのレベルでは、1960年代のカウンターカルチャー(対抗文化)が欧米における共産主義の軍隊として機能した。彼らは公民権や反戦運動を吸収して表舞台に立ち、直後にフェミニスト運動や同性愛運動などの反資本主義運動を広げた。

1970年代以降、反ベトナム戦争運動が鎮まると、共産主義はフェミニズムと環境主義を推進しながら、新たに「制度を通じた長征」の過程に入った。これが、環境主義イデオロギーの高まりと扇動のルーツである。

1970年代に環境保護を掲げていたのは、カウンターカルチャーの主役であるヒッピーである。実際、共産主義は冷戦での失敗を受け、彼らは新たに自分を環境主義という名の包装紙で包みなおし、偽装したのである。呼び名は何であれ、彼らの意図は、世界に共産主義を導入することである。

第三段階は、冷戦終結の直前に始まった。1988年、国連は気候変動に関する政府間パネル(IPCC)を設置し、地球温暖化という概念が政治的な領域に入った。【5】1990年のソ連崩壊の前夜、モスクワでは環境国際会議が開かれていた。共産党書記長のミハイル・ゴルバチョフは、国際的な環境監視システムの設立を訴えた。彼は「ユニークな環境ゾーン」を保護する協定に署名し、国連の環境プログラムを支持することを表明し、継続会議の開催を提案した。(1992年6月にブラジルで開催)【6】

ほぼ全ての欧米環境主義者たちはこの提案を容認し、この段階で、彼らは地球温暖化を主な脅威とみなすようになった。環境保護を理由としたプロパガンダを利用し、強制的な政策実施がエスカレートした。環境保護の法律や規制が猛スピードで制定された。

環境主義が世界中の市民の自由を制限し、国家の主権を奪い、欧米の自由社会を抑制する主な道具となった。その結果、冷戦が終結した後、旧共産主義のソ連、あるいは欧米の共産主義者たちは揃って、新たに環境保護運動に乗り出した。環境主義は共産主義的な色を帯びながら世界の表舞台に立ち、強大な勢力となったのである。

b. 環境主義とマルクス主義のルーツは同じ

東洋でも西洋でも、正統な宗教を信じる人々は、人間は神のイメージを模して造られ、人間は他の生命よりもより高い価値、目的、尊厳が与えられたと認識している。同様に、自然環境も神によって創造された。人間は自然に配慮する義務があり、なぜなら自然は人間のために創られたからである。決してその反対ではない。

しかし、無神論者と唯物主義者にとって、人間の生命は特別ではない。エンゲルスは彼のエッセイの中で言った。「生命はタンパク質の存在様式である」。【7】この観点からすれば、人間の生命は単なるユニークなタンパク質の集合体であり、動物や植物と本質的になんら変わらない。従って、自然保護という名の下では、人類の自由や生活が奪われても構わないのである。

1862年、ドイツの化学者でマルクスの同僚だったユストゥス・フォン・リービッヒ(Justus von Liebig)は、彼の有機化学の本の中で、イギリス農家が輸入した鳥の糞を肥料に使っていることを批判した。イギリスは効率のよい鳥の糞を肥料とし、穀物の収穫高は目覚ましく伸びていた。19世紀半ばまでに、イギリスは高品質な食料を十分に蓄えていた。鳥の糞の商売はさまざまな国のビジネスを潤し、またイギリス農家や民衆にも役立っていた。

なぜ、フォン・リービッヒはそれを批判したのだろうか?第一に、彼によれば、鳥の糞を収集する過程で自然にダメージを与える。二番目に、商売人は労働者たちを低賃金で搾取する。第三に、収穫が伸びると人口増加を招くため、より多くの食料を必要とし、自然の供給量を超えてしまう。第四に、人口増加に伴う家畜の増加は、より糞とゴミを増やす。【8】

当時、資本論を執筆していたマルクスは、フォン・リービッヒの著作を慎重に学んだ。マルクスは、「自然科学の、ネガティブな、つまり破壊的な現代農業の観点から発展させている」として彼の理論を称賛した。【9】フォン・リービッヒと同様に、マルクスは自然資源を利用したいかなる富の形成も悪循環であると否定し、「理性的な農業は資本主義システムと相容れない」と結論づけた。【10】

レーニンとボルシェビキはロシアで革命を起こした直後、「土地に関する布告」と「森に関する布告」を発表し、土地、森、水、鉱物、動物、植物資源を国有化することを宣言した。市民はそれ以降、許可なしにそれらを使うことを禁じられた。【11】

アメリカの気象学者ブライアン・サスマン(Brian Sussman)は、彼の著書『Eco-Tyranny: How the Left’s Green Agenda Will Dismantle America』(仮題:エコ専制政治―いかに左翼の緑のアジェンダがアメリカを解体するか)の中で、マルクスとレーニンの考え方は、今日の環境主義と極度に一致していると指摘する。彼らの考え方によれば、誰も自然資源から利益を得る権利はない。「森林でも、クジラでも、カタツムリでも、気候でも、それらを守ることすべては、根深い信念に戻ってくる。利益追求はモラルに反し、すぐに止めなければ地球を破壊するという考え方だ」【12】

この世界的な環境運動には多くの思想家、政治家、科学者、社会活動家、メディア関係者が関わっている。ここで彼らの思想やスピーチ、活動を列挙するスペースはないが、一人だけ特筆すべき人物がいる。国連環境事務局の創設者モーリス・ストロング(Maurice Strong)である。カナダ人の彼は1972年の国連人間環境会議を組織し、また1992年には環境と開発に関する国際連合会議を開催した。彼は左翼ジャーナリストで中国に移住したアンナ・ルイーズ・ストロング(Anna Louise Strong)の甥である。モーリス・ストロングは彼女から深い啓発を受け、彼自身を「イデオロギーでは社会主義者であり、方法論では資本主義者だ」と語っている。【13】

ストロングは世界の環境運動の中で重要な立場にあった。「彼は路上で抗議する過激な環境主義者たちと同じ意見を持っていたが、彼自身は国際会議前で警察のバリケードに向かって叫ぶわけではなかった。代わりに、彼は室内で小槌を叩く議長だった」【14】

ストロングが率いる国連機関が示す見解は、ほぼマルクス主義と一致するとサスマンは指摘する。「土地の私有は富の蓄積の主な手法であり、それは社会に不公正を促す。従って、公衆による土地の支配は不可欠である」【15】ストロングは退任した後、北京に居を構え、2015年に死亡した。

ソ連専門家のナタリー・グラント・ラガ(Natalie Grant Wraga)は、この問題について深い分析を行っている。「環境保護という口実を使えば、先進国の産業を弱体化させる対策を適用できる。さらに、彼らの生活水準を下げることによって倦怠感を導入し、共産主義の価値観を植え付けることができる」【16】実際、環境主義は旧共産圏から生まれただけではない。それはより深いレベルで、世界中の自由を奪うという共産主義のゴールに関連しているのである。

c. エコロジー的なマルクス主義

19世紀から20世紀に代わろうとするとき、イギリスの科学者レイ・ランケスター(Ray Lankester)とアーサー・タンズリー(Authur Tansley)は、エコロジーとエコシステムという概念を発展させた。二人はマルクス主義の別バージョンであるファビアン社会主義者である。ランケスターは動物学者で、比較的若いながらも、老いたマルクスの友人になった。ランケスターはマルクスの家を何度も訪れ、マルクスの葬儀に参加した数少ない友人の一人だった。ランケスターはマルクスに宛てた手紙に、彼は資本論を「最大の喜びと利益を持って」読んだと書いている。【17】

タンズリーは当時のイギリスで、エコロジーと植物学においては最も主要な人物だった。イギリス生態学会の初代委員長を務め、「エコシステム」という言葉を造語した。ロンドン大学に出席した頃、タンズリーはランケスターの影響を深く受けていた【18】

エコロジーとマルクス主義が繋がったのは、ランケスター、タンズリー、マルクス主義が接触した時である。もちろん、エコロジーと環境主義は同じではない。エコロジーは生命と環境の関係であり、環境主義は自然災害に関わっている。しかし、エコロジーは環境主義と密接に関係する。なぜならば、エコロジーは自然災害に理論的な根拠を与えるからだ。エコロジーから派生したエコロジー的マルクス主義は、ここから更に離れた概念である。

エコロジー的マルクス主義は、エコロジーの危機を加え、マルクス主義者が唱える資本主義経済の崩壊を主張する。彼らは製造と自然環境の対立を加えることにより、いわゆるブルジョワジーとプロレタリアートの対立を激化させるのである。これがダブル危機あるいはダブル対立である。マルクス理論によれば、資本主義の基本的な対立は、生産力と生産関係の対立であり、これが初期の対立である。二番目の対立は生産環境(エコシステム)と生産力および生産関係全部である。この理論でいうと、初期の対立が経済危機を招き、二番目の対立がエコロジーの危機を招く。【19】

資本主義の100年前後の発展を見ると、経済危機による資本主義の崩壊を予見したマルクスは間違っていたことが分かる。反対に、資本主義は繁栄した。一方、マルクス主義が環境主義に理論的根拠を与えると気づいた左翼たちは、エコロジーの危機を利用し、過激な環境主義運動と世界的な見解を推進している。

d. エコロジー的社会主義

名前が示す通り、エコロジー的社会主義は、エコロジーと社会主義を融合させたイデオロギーである。これは時に「スイカ」と揶揄される。外側は緑だが、中身は真っ赤。典型的な「社会公正」などの社会主義の要求をエコロジーのアジェンダにつきつける。彼らは明らかに新しい手段で社会主義のイデオロギーを推進している。

エコロジー的社会主義の典型例はジョエル・コベル(Joel Kovel)とマイケル・レーヴィ(Michael Lowy)が2001年に出版した『Ecosocialist Manifesto』(仮題:エコ社会主義宣言)である。コベルはグリーン党を代表して大統領選に出馬したが、落選した。レーヴィは第四インターナショナルのメンバーである。彼らの本によれば、資本主義はエコロジーの危機を解決できず、エコロジー的社会主義に取って代わられると主張している。彼らにとってエコロジー的社会主義は社会主義の支部ではなく、新しい時代における新しい名前の社会主義である。【20】

2002年、コベルは『The Enemy of Nature: The End of Capitalism or the End of the World?』(仮題:自然の敵―資本主義の終焉または世界の終わり?)を出版した。本はエコロジー的な社会主義について詳細に説明し、資本主義を厳しく批判し、過激な方向へと状況を変えることを提唱している。【21】

e. 緑の政治(グリーン・ポリティクス)

環境主義が政治に参与すると、緑の政治(またはエコ政治)が誕生した。その結果、緑の党が世界中に設立された。緑の党は環境保護問題を超えて、社会正義、フェミニズム、反戦活動、平和主義を主張する。例えば国際的な環境団体グローバルグリーンズ(Global Greens)が2001年に定めた憲章は、人間と動物の平等性を重視した政策などマルクスのイデオロギーを掲げている。【22】

環境主義は通常、社会主義や共産主義によって推進されている。ロシアや東欧の共産主義政権が崩壊した後、多くの旧共産党メンバーが緑の党に集結した。その結果、緑の党のイデオロギーは左寄りであり、左派グリーン(Green Left)と呼ばれる所以である。

ソビエト共産党が解散した後、旧ソ連指導者ゴルバチョフは再び政治家になることを試みたが失敗した。そこで、彼は環境主義者となり、グリーンクロスインターナショナル(Green Cross International)を設立した。明らかに、ゴルバチョフは環境保護の追及の裏に共産主義の要素を導入している。彼はたびたび、環境危機をストップするためという名目で世界政府の設立を呼びかけている。【23】

多くの欧米の共産党は、環境保護運動に積極的に関わっている。オーストラリアの環境保護活動家でグリーン・バン運動の発起人ジャック・マンディー(Jack Mundey)はオーストラリア共産党のメンバーであり、彼の妻は同党の委員長を務めたことがある。【24】

f. エコ・テロリズム

左翼の影響を受けた環境主義は、始まった時から比較的過激だった。ディープ・エコロジー、エコ・フェミニズム、ソーシャル・エコロジー、バイオ・リージョナリズム(生態地域主義)などの過激な団体が誕生した。最も有名なグループは、アース・ファースト!(Earth First!)と地球解放戦線(Earth Liberation Front)である。彼らは直接的な手段(例えば爆発物や放火など)に訴えて、彼らが環境にとってダメージがあると思う活動を阻止する。これが、エコ・テロリズムである。

1979年に始まったアース・ファースト!のスローガンは、「母なる地球の防衛に妥協はない!」である。グループが標的にするのは、樹木の伐採、ダム建設などのプロジェクトである。同グループの主なやり方の一つは、「木に座る」ことで、樹木の上に座って伐採作業を妨害する。アース・ファースト!の戦略は多くの新メンバーを惹きつけ、その中には主流社会に対抗心を燃やす左翼や無政府主義者などが含まれている。

1992年、より過激な地球解放戦線のメンバーが放火を始めた。2000年末頃、アメリカ・ロング・アイランドにある高級マンションが放火され、一晩で灰になった。理由は、これらのマンションが森林によって建設されたからだという。放火を完遂した後、同組織のメンバーはスローガンを掲げた。「マンションを建設したら、われわれがそれを焼き払う!」

2005年、FBIは地球解放戦線が1200件を超える物的損壊に関わっていると推定し、アメリカにおける最大のテログループと断定した。その損害額は数百万ドルを超える。【25】彼らの活動は、すでに通常の抗議活動や政治的な見解の相違を超えている。共産主義のイデオロギーは一部の環境主義者の恨みをあおり、彼らをエコ・テロリストに変貌させた。それは、その他のテロリストと同じである。

g. グリーンピース―平和運動にあらず

1971年に設立された世界最大の自然保護団体である。世界40カ国に事務所を構え、3億5千万ドル以上の収入がある。最も過激な自然保護団体の一つである。

1977年に脱退した共同創立者のポール・ワトソン(Paul Watson)は言った。「(元委員長の)ディビッド・マクタガート(Davide McTaggart)の成功の鍵は、グリーンピースの成功の鍵だった。何が真実なのかは重要ではなく、人々が何を信じるかが重要だった。人は、メディアが定義する人間になる。(グリーンピースは)神話となり、神話を作りだすマシーンになった」【26】

環境保護活動家でグリーンピース創設者の一人パトリック・ムーア(Patrick Moore)は、後に同団体の事務局長を辞任した。彼によれば、同組織は「急激に左傾化した」という。【27】極端な組織に発展した同団体は、全工業生産に対する敵意など政治的なアジェンダを用い、科学的根拠よりも政治的動機に基づいて活動するようになった。【28】

グリーンピースのような過激な自然保護団体は、目的達成のために手段を選ばない。この時点で、過激な環境主義は共産主義と類似している。2007年、グリーンピースのメンバー6人がイギリスの石炭火力発電所に乗りこみ、妨害を働いた。彼らは3万ポンドに上る損害を与えたとして起訴された。活動家たちは施設を閉鎖に追い込んだことを認めたが、より大規模なダメージを減らすため(温室効果ガスによるダメージ)だったと釈明した。裁判所は彼らに無罪の判決を下した。

それ以前にも、グリーンピースは原子力発電所や自動車会社、戦闘機製造工場などに対する損害の罪で起訴されたが、無罪を勝ち取っていた。【29】この理論で、合法と非合法の手段があいまいになってしまった。

マルクス・レーニン主義は、究極のユートピアを理由に、殺人、放火、強盗を正当化した。同様に、環境保護の名目の下、共産主義は環境破壊を警告し、暴力や違法行為を正当化しているのである。

先ほど挙げた例をとると、グリーンピースは陪審員が犯罪の動機を合法であると認めさせることに成功した。これによって、見せかけだけの根拠のない主張がまかり通るということを、大勢の人々が受容することになった。これらすべては普遍的な価値観の放棄であり、社会全体の道徳が堕落していることのサインである。

2. 気候変動は共通認識という神話

気候変動は常に注目の話題である。異常気象に関する議論は、メディアや専門家の意見を通して常に活発である。最もよく聞かれるのは、人間が排出する温室ガスにより地球温暖化が進み、それが自然災害に繋がっているという主張である。この説を唱える人々は、科学的な共通認識の結果であるとか、あるいはすでに科学的な事実であると主張する。この説に異議を唱えたりすれば、一部の環境主義者は反科学的、あるいは反人類的だと批判するのである。

上記に挙げたグリーンピースのメンバーが発電所に与えた損害が無罪とされたのは、著名な専門家たちのいわゆる「共通認識」が証拠となったのである。その認識とは、つまり発電所から毎日排出される温室ガスが400種に上る生命を絶滅させるといった主張である。

科学界では実際に、この主張は共通認識に達しているだろうか?元マサチューセッツ工科大学の気象学者リチャード・リンゼン(Richard Lindzen)は2007年に、気象科学はまだ共通認識に達していないとする彼の見解を表明している。【30】アメリカ・エネルギー省科学担当次官を務めたニューヨーク大学教授スティーブン・クーニン(Steven Koonin)は2014年の記事「気象科学は確定していない」の中で述べている。「われわれは、よい気象政策を適用するのに必要な知識からは、非常にかけ離れている」【31】またクーニンは別の記事で、「大勢の人々は、気象科学界で起こっている激しい論争について知らない。最近の研究会議では、100人以上の政府関係者や大学研究者たちが人類による影響と気象の自然変動には関連性がないことを主張していた。議論の問題は微妙な違いに留まらず、よりわれわれの基本的な認識であり、それは明らかな(予測していなかった)事、つまり過去20年間において、世界全体の海水上昇のスピードが遅くなっていることである」【32】

1880年以降、地球の表面温度は全体的に上がっている。また、二酸化炭素やその他の大気に排出される温室効果ガスが世界の温暖化を促進している。この基本的な仮説について、意義を唱える科学者はいない。しかし、より重要な問題点が科学者の間で議論されている。つまり、温暖化の主要な原因は人間の活動によるものか、それとも自然現象なのか?21世紀の最後になって、一体世界はどのくらい温暖なのか?人類が、将来の気候変動を予測することができるだろうか?温暖化が自然災害をもたらすのか?

しかし、気象変動については、科学界ではある程度の共通認識に達したように見える。なぜならば、いわゆる「科学的な共通認識」を主張する人々は、滅多にメディアや科学雑誌に登場しないからだ。

物理学者で元NASA長官のマイケル・グリフィン(Michael Griffin)は、2007年、ナショナル・パブリック・ラジオとのインタビューで次のように語っている。

「私は、世界的な、地球温暖化があることに疑念はない。私は、その問題に、われわれが格闘しなければならないかという点については確信がない。それが問題だと仮定するならば、現在の地球の気候は最適であると仮定することになる。われわれが保つべき最適な気候あるいはかつて保っていた気候が存在し、その気候が変動しないようにわれわれが手を打たなければならないという仮説になる。第一、気候が変動しないことを保障することは、数百万年の歴史を振り返っても、人類の力が及ぶことではない。第二に、一体どの人類が(いつ、どこで)このわれわれの特別な気候に対して、それがすべての人類にとって最適かどうかを決める特権を与えられているのかと聞きたい。人間がそのポジションを取るとしたら、むしろ傲慢だと私は思う」【33】

グリフィンは、人類は科学については謙虚になるべきだと述べたに過ぎないが、彼はその後メディアや気象科学者たちから激しい批判を受けた。一部の科学者たちは、彼が無知であると言った。次の日、プレッシャーから彼は謝罪を強いられた。【34】

数カ月後、グリフィンは他のインタビューでコメントした。「私は個人的に、人々は気候変動に対する議論について極端に走っていると思う。それを技術的に議論する問題とすることさえ、非合法になったのだから。それはすでに宗教的にさえなってしまったが、私は嘆かわしいと思っている」。グリフィンによれば、いわゆる「科学的共通認識」とされる、われわれが思っている気候変動に関する主張は、実際には科学的なプロセスを踏んでいない。彼は、科学的なプロセスは、議論の結果であるべきだと信じている。「(科学者は)理論を組み立て、データを公表し、自分の概念を推進し、他の科学者がそれに反論したり、挑戦したりする。科学的な共通認識とは、そのようにして生まれるものだ」【35】あらゆる手段や手法をもちいて科学的な議論を止めるやり方は、科学の精神に反している。

輝かしい評判と気象分野における権威として、イギリス王立気象学会のメンバーで元欧州中期気象予報センター所長のレナート・ベングトソン(Lennart Bengtsson)は、地球温暖化政策基金(GWPF)に参加した。GWPFは、地球温暖化という理論に疑問を呈するシンクタンクである。すると、彼は同僚たちによる厳しい検閲とプレッシャーに直面することになった。2週間後、彼は辞任に追い込まれた。

ベングトソンは辞表にしたためている。「私は最近、世界中のグループからとてつもない圧力を受けており、それは実際私には耐えられなかった。もしこれが続くのなら、私は通常の業務もこなせず、また自分の健康や安全を危惧しなければならなくなるだろう。同僚たちは私に対する支持を止め、その他の同僚は共著を止めると言っている。もともと平和的だった気象学の世界が、このような(マッカシー議員の頃のような)事態になるなんて、想像もしていなかった。明らかに、近年、この世界は変貌した」【36】

ベングストンの見解は正しい。この「近年の変貌」は、共産主義イデオロギーと、彼らが闘争を使って気象学の分野を乗っ取った結果である。

実際、気候変動についてのいわゆる「科学の共通認識」は、「気候変動」理論を教義に変えた。気候変動は、環境保護運動の絶対的な教義である。それは、神聖で侵すことができない。この教義を受容する科学者、メディア、環境主義者たちは一緒になって切迫した自然災害の危機を訴える。この教義は、環境主義運動が大衆に恐怖を与える重要な道具であり、それによって大衆が彼らの政治的アジェンダに従うのである。この教義を植えつけ、強化するプロセスは、つまり共産主義の虚偽、暴動、バッシング、召集、対立と同じであり、明らかに共産主義スタイルである。

a. 気象科学の「共通認識」ができあがるまで

1988年、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立された。この機関の主な目的のひとつは、科学的な研究を5年ごとにまとめて収集し、分析することで、気候変動に関する科学的知見を表明する。この機関は、気候問題に対する科学的な共通認識を設定し、政策決定に科学的根拠を提供することを目的としていた。【37】IPCCの報告書は千人以上の筆頭著者、共同著者、査読者が含まれている。従って、IPCCの結論はしばしば、数千人以上におよぶ世界中の科学者たちの総意であると認識されている。

1992年、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化し、人為的な介入が気候変動を招くのを防ぐことを目標とした気候変動枠組条約(UNFCCC)が採択された。ここで注意したいのは、気候変動が人為的であり、危険であるとすでに仮定していることである。その後、IPCCは「人類が気候に及ぼす影響」と、「気候変動がもたらす環境的および社会経済的な影響」を分析することになった。【38】UNFCCCは、人類が気候変動の犯人であるという仮説に基づいているが、それはIPCCが分析すべき科学範囲を狭めているにすぎない。さらに、もし気候変動が危険でもなく、工業生産のみが原因ではないとしたら、政策立案の必要はなくなり、IPCCの存在意義がなくなる。このような利益の対立があれば当然、IPCCの焦点も偏ってくる。

IPCCは報告書から不確実性という言葉を削除

IPCCの第二次評価報告書が発表される直前の1995年、全米科学アカデミーの所長でロックフェラー大学の学長を務めた物理学者フレデリック・ザイツ(Frederick Seitz)は、そのコピーを入手した。ザイツは後に、その中身は科学的な査読を経た後、印刷される前に大幅に書き換えられことを明かしている。人類の活動が気候変動に影響しているかどうかの不確実性については、すべて変更あるいは削除された。

ウォール・ストリート・ジャーナルに寄せられたザイツの記事によれば、「私は60年以上アメリカの科学界に在籍しているが…IPCCの報告書ほど、査読の過程で胸がむかむかするほど不快な腐敗が起きているのを見たことがない」【40】

報告書から削除された部分は以下の文章を含む。【41】

「上記に挙げた研究は、観察される(気候)変動が、温室ガス効果の上昇によるものとする明確な証拠を示していない」

「今日まで、すべてのあるいは一部の(観察される気候変動が)人為的な(人類が起こした)原因だと積極的に定義する研究はない」

「気候システム全体の変動指数の不確実性が減少するまで、気候変動があるという主張は議論され続けるだろう」

後にIPCCは報告書の修正は著者に承認されていると反論したが、同組織がいかに政治に左右されているかが分かる出来事である。評価報告書はオリジナルの研究を含まず、多くは現存している研究の要約にすぎない。現存する研究にはさまざまな意見があるため、最初の目的である「共通認識に達する」ために、IPCCは異なる見解を削除したのである。

2000年4月、IPCCの第三評価報告書の原稿には、「地球の気候に対する、人間の影響が認められる」と書かれていた。同年10月に発表された報告書には、「人為的な温室ガスの濃度上昇は、過去50年間における地球温暖化に大きく寄与した可能性がある」となった。最終版には「観察できる過去50年間のほぼすべての温暖化の原因は、温室効果ガスの濃度上昇による可能性がある」と強調された。

国連環境計画のスポークスマンであるティム・ハイアマン(Tim Higham)は、文章変更の科学的根拠について聞かれると、正直に答えた。「新しい科学はなかったが、科学者たちは明確で力強いメッセージを政策立案者たちに提示しているのです」【42】

言い方を変えると、UNFCCCはIPCCに、欲しい答えを出すようにと宿題を与え、IPCCはその要求に応えたのである。

IPCCが強調する「災害に対する共通認識」

フランスにあるパスツール研究所の教授ポール・ライター(Paul Reiter)はマラリアや昆虫を媒介とする伝染病の専門家である。彼はIPCCの報告書に反論し、2千人の科学者リストから彼の名前を外すよう訴えを起こした。彼は、IPCCは「世界トップの科学者全員が同意したように見せかけているが、それは真実ではない」と述べている。【43】

アメリカ上院での公聴会で彼は述べた。「この議論のイラつかせるところは、この怪しい「科学」が、公のフォーラムで、影響力のある「専門家」によるパネリストによって是認されることである。私が言っているのは特に、IPCCのメンバーである。5年ごとに、この国連機関は「世界トップの科学者たちの共通認識」を発表する。どの科学者を選択するかという過程が怪しいのはさておき、そのような共通認識は政治であり、科学ではない」【44】

環境主義者たちは気候温暖化が進むとマラリアなどの昆虫媒介疾患が増えると主張し、またそれはIPCCの主な主張でもある。2007年11月27日、ブルームバーグは「地球温暖化は何百万人もの人々をマラリアやデング熱の危機にさらすとし、国連の報告書は気候変動による健康被害を早急に見直すよう呼びかけた」と報道した。【45】しかし、ライターは、気候温暖化と伝染病の単純な関連づけを認めていない。

彼によれば、マラリアは熱帯地域だけで発生するわけではない。マラリアの大発生は1920年代の旧ソ連でも起こり、またロシア北西部のアルヘンゲリスクでも3万件のマラリア患者が報告されており、1万人が亡くなっている。【46】2011年の科学誌「ネイチャー」によれば、科学者たちは以前の仮説に反して気温上昇と共に蚊を媒介する疾患が減っていることを発見したという。【47】それは、ライターの見解を裏付ける。

また、別の科学者はIPCCがいわゆる「災害に対する共通認識」を運営方針にしていることを批判し、彼は同報告書から名前を外した。ハリケーンの専門家で気象学者のクリストファー・ランドシー(Christopher Landsea)は、IPCCの主要な執筆者だったが、2005年1月に脱退した。彼は公開書簡の中で、「私は個人的に、先入観とあやふやな科学に基づいているプロセスの中で、誠意をもって続けていくことはできない」としている。彼はIPCCに対して、報告書が科学よりもセンセーショナルな動機に基づいていないかどうか、確認することを促している。【48】

ランドシーは、IPCCの主著者がハリケーンと気候変動を関連づけていることに反対している。IPCCの主著者(ハリケーンの専門家ではない)は、実際のデータもないのに、気候温暖化がより激しいハリケーンを起こすと強調している。ランドシーによれば、過去の研究でも、そのような関連性を裏付ける歴史的な記録はないという。理論的に言えば、例えそのような関連性があったとしても、それは微々たるもので取るに足らないほどだと指摘する。

オクラホマ大学の地球物理学者デービッド・デミング(David Deming)は、氷床コアを分析して北アメリカにおける過去150年間の気温データを入手し、科学雑誌「ジャーナル」に投稿した。共通認識をうたう人たちはデミングが彼らの主張を擁護していると捉えた。アメリカ上院公聴会で、デミングはIPCCの主著者が彼にメールを送ったことを明かした。「われわれは、中世の頃の温暖期を削除しなければならない」【49】中世の温暖期とは、紀元前950年~1150年において北大西洋地域で見られた温暖な気候である。この時期の気候変動を削除すれば、今日の温暖化は前例がないと強調できる。

このようなケースは数多くある。競争的企業研究所の研究者クリストファー・ホーナー(Christopher Horner)は著書『Red Hot Lies, How Global Warming Alarmists Use Threats, Fraud, and Deception to Keep you Misinformed』(仮題:真っ赤な熱い嘘:地球温暖化の警告者たちがいかに脅迫、詐欺、虚偽を使って皆に偽情報を流しているか)で、IPCCの結論と政治的経営に反対していた多くの科学者を挙げている。【50】彼らはデータを提示してIPCCのいわゆる「共通認識」に理性的な疑問を投げかけている。しかし、現在の学界やメディアの中で、彼らの声は搔き消されている。

b. 科学界に教義を植え付ける

いわゆる気候変動に対する共通認識を植えつけ、強化することは、環境主義を利用して大衆を操作するための主なステップである。この手法で自然災害に対する恐怖を拡大し、人間の価値観を捻じ曲げる。この結論のまま行けば、行く先にあるのは世界政府の誕生である。つまり、共産主義である。これは主に科学界で繰り広げられているが、すでにメディア、政府、研究所などが一緒になって推し進めている。

アカデミックな評判がいくらよくても、いったん共通認識とされる教義に異議を唱えれば、学者生命は危険に晒される。彼は同僚や学界から途方もないプレッシャーを受け、降伏を迫られる。共産主義下の全体主義社会で生活したことのある人は、同様の経験をしたことがあるはずだ。違いは、彼がプレッシャーを受けるのは共産党の教義に異議を唱えた時である。

王立野生トラスト協会の委員長で著名なイギリスの環境活動家デービッド・ベラミー(David Bellamy)は公に、地球温暖化という教義を信じないと宣言すると、協会は彼に対する不満を表明した。【51】彼はその後、委員長を辞任し、それまで彼を信奉していた人々は彼が理性を失ったとか、あるいは大手石油会社からお金をもらっているなどと噂しあった。【52】

元王立オランダ気象学会の所長ヘンク・テネケス(Henk Tennekes)は共通認識を支持しなかったために解雇された。同様に、世界気象機関の幹部アスケル・ウィンネルソン(Aksel Winn-Nielsen)は、IPCCの職員によって「産業の小間使い」と中傷された。イタリアの研究者、アルフォンソ・ステラ(Alfonso Sutera)とアントニオス(Angonios)は、温暖化が人為的だとする説に疑問を呈すると、研究費を差し止められたのである。【53】

アメリカ気象学者協会(American Association of State Climatologists)の所長でバージニア大学の気象学者パトリック・マイケルズ(Patrick Michaels)は、著書『Climate of Extremes: Global Warming Science They Don’t Want You to Know』(仮題:極端な気候―君に知られたくない地球温暖化科学)の中で、環境主義者が、いわゆる共通認識に達するために、科学的な異見者を抑圧する数多くの例を挙げている。彼は気候変動が災害をもたらすわけではないと主張し、彼の楽観的な見解は、共通認識という教義にはそぐわなかった。ある日、彼はバージニア州知事から、協会の学者として講演を行ってはならないと告げられた。彼は最終的に、そのポストを辞任した。

同協会の気象学者でオレゴン州立大学のジョージ・タイラー(George Taylor)も同じトラブルに遭い、最終的には辞任に追い込まれた。デラウェア大学の気象学センター長だったデービッド・レガテス(David Legates)も、協会の気象学者として温暖化問題について話してはいけないと知事から告げられた。ワシントンの気象学者助手マーク・アルブライト(Mark Albright)はジャーナリストや市民からの疑問に答えて、カスケード山脈の全体の積雪量の記録をメールしたことで解雇された。彼は上司の警告にも関わらず、一部の記録だけを抜き取ること(こうすると温暖化しているように見える)をせず、全体の記録を公表したからである。【54】

ここで議論の焦点となっているのは、気象学者の専門分野である。国家の政策問題ではなく、気象科学である。共産主義国では、科学に対する稚拙な政治的妨害は日常茶飯事である。西洋社会では、環境主義の政策が学問の自由を阻害している。

1990年代から、共通認識に挑戦するアカデミックな研究はジャーナルなどにほとんど見られなくなった。イギリスの番組チャンネル4が1990年に放送した「温室効果の陰謀」(The Greenhouse Conspiracy)の中で、マイケルズは、もしある人物の見解が政治的に容認されなければ、トラブルに遭うだろうと言った。彼の論文は何社ものアカデミック・ジャーナルから拒否された。彼がジャーナルの編集者に理由を問うと、彼の論文はより高い評価水準をパスしなければならないと言われた。

1990年のIPCCの報告書によると、当時の地球温暖化に対する認識は、気候の自然変動と同程度だった。従って、マイケルズの見解が他と違っていたとしても、彼の説が必ずしも異説というわけではなかった。しかし、偽の共通認識を植え付けるゴールが設定された後、全員が同じボートに乗るはめになった。

政府による資金援助が、いわゆる共通認識の形成と強化に貢献した。人類が地球温暖化の原因であり、また自然災害をもたらすとする仮説によって、気候変動研究が政治的な力を持つようになった。研究者がこの仮説を支持すれば、多くの研究費を確保できるし、数多くのアカデミックな記事を出版することもできる。反対に、強制された「共通認識」によって、科学者が他の可能性を探る自由が奪われたのである。

アメリカのハリケーン研究に詳しい著名な教授ウイリアム・グレイ(William Gray)は、共通認識という教義を批判した後、彼は研究費の申請がたびたび下りないことに気が付いた。【55】

2008年3月、気候変動に関する教義に疑問を抱く科学者たちが非公開にニューヨークに集まった。彼らの多くは、研究結果をジャーナルで発表しようとしても、たびたび妨害されたと語った。アメリカ気象学会の気候分析と予測委員の元委員長で気象学者のジョセフ・ダレオ(Joseph D’Aleo)によれば、一部の彼の同僚は、解雇を恐れてこの会議への出席を断念したと話した。彼は、気象学の世界には、「共通認識」を支持しない「サイレント・マジョリティー」(物言わぬ多数派)が存在している可能性が高いと指摘している。【56】

ジョージア工科大学の地球と大気科学学部長だったジュディス・カレー(Judith Curry)は、2015年の上院公聴会で、NASAに雇用された職員が彼女に言った話を証言した。「私はNASA関連の科学者が集まるミーティングに参加しました。その場にいたトップ・マネージャーは、NASAの上司が彼に言ったそうです。われわれは現在の地球温暖化に反対する論文を発表すべきではない、と。なぜならば、その上司が言うには、(もしそんなことをすれば)、不都合な宣伝に対抗しなければならなくなる、と言ったそうです」【57】

カレーはさらに証言した。「気候に関する議論で不確実性や疑問を呈する気象学者は、否定者とか、化石燃料会社から利潤を得ている「疑いの商売人」と言われます。私自身の経験からすると、もし公にIPCCによって定義された不確実性について議論すれば、「気候の異端者」というレッテルを貼られ、同僚たちは私を敵視します。ここには、気象学者たちがいわゆる共通認識に従わざるを得ないような強大な圧力があります。その圧力は政治家だけでなく、連邦政府の資金機関や、大学、専門家協会、また緑の活動家やそれを主張する科学者たちです。この共通認識を強化するのは、強い金銭的な、評判的な、権威の利益が関わっています」【58】

カレーはアメリカ気象学会および全米評議会の気候研究委員会メンバーである。アカデミックな成功にも関わらず、彼女はこの圧力から逃れるために、早期退職を決意した。なぜならば、彼女は最近IPCCの「共通認識」に挑戦したため、メディアや他の科学者たちから「反科学的」「否定者」という烙印を押されたからである。国会議員はジョージア工科大学学長に手紙を送り、カレーの動機は何かと質問する始末である。【59】またその他の理由として、彼女は学生や博士課程の生徒たちに、「気候科学という分野で、どうやって狂気の沙汰を乗り切るのか」を教える自信がなかったと明かしている。【60】

コロラド大学教授のロジャー・ピクジュニア(Roger Pielke Jr.)は、カレーと共に気候変動問題について研究していた。彼はもともと、環境科学共同研究センター(CIRES)に所属していた。彼はIPCCの「共通認識」にほぼ同意していたが、ハリケーン、竜巻、干ばつなどの極端な気候が気候変動によるものだとする説はデータが不足していると指摘し、同様にプレッシャーを受けるようになった。彼は最終的に、コロラド大学のスポーツ・ガバナンス・センターに配属された。【61】

ピクジュニアは、カレーの経験から、「終身雇用の地位を得ていても、学問の自由は保障されない」と指摘する。【62】全米技術アカデミーのメンバーで元NASAの大気科学者ジョアン・シンプソン(Joanne Simpson)は、引退した後に「共通認識」に対する疑念を打ち明けた。「もう私はどの組織にも所属していないし、補助金も受けていないから、率直に話せる」と述べ、「私は科学者として、まだ懐疑的だ」と語っている。【63】

第十五章第十六章(下)

参考文章

[1] 董仲舒:《春秋繁露‧服制像》,第十四,https://ctext.org/chun-qiu-fan-lu/fu-zhi-xiang/zh.

[2] 《逸周书‧大聚解》,https://ctext.org/lost-book-of-zhou/da-ju/zh.

[3] 《礼记‧祭仪》,https://ctext.org/text.pl?node=61379&if=gb&show=parallel.

[4] Rupert Darwall, The Age of Global Warming: A History (London: Quartet Books Limited, 2013), Chapter 1.

[5]  Wes Vernon, “The Marxist Roots of the Global Warming Scare,”  Renew America, June 16, 2008, https://web.archive.org/web/20100724052619/http://www.renewamerica.com:80/columns/vernon/080616.

[6] 恩格斯:《反杜林论》第一编第八章,《马克思恩格斯全集》第二十卷(中文马克思主义文库),https://www.marxists.org/chinese/marx-engels/20/003.htm#8。

[7] Brian Sussman, Eco-Tyranny: How the Left’s Green Agenda Will Dismantle America (Washington D.C.: WND Books, 2012), 8-9.

[8] Quoted in Brian Sussman, Eco-Tyranny: How the Left’s Green Agenda Will Dismantle America, 10.

[9] Quoted in Brian Sussman, Eco-Tyranny: How the Left’s Green Agenda Will Dismantle America, 11.

[10] Brian Sussman, Eco-Tyranny: How the Left’s Green Agenda Will Dismantle America, 14-15.

[11] Brian Sussman, Eco-Tyranny: How the Left’s Green Agenda Will Dismantle America, 11.

[12] Wes Vernon, “The Marxist Roots of the Global Warming Scare,”  Renew America, June 16, 2008, https://web.archive.org/web/20100724052619/http://www.renewamerica.com:80/columns/vernon/080616.

[13] Quoted in Brian Sussman, Eco-Tyranny: How the Left’s Green Agenda Will Dismantle America, 35.

[14] Wes Vernon, “The Marxist Roots of the Global Warming Scare,”  Renew America, June 16, 2008, https://web.archive.org/web/20100724052619/http://www.renewamerica.com:80/columns/vernon/080616.

[15] John Bellamy Foster, “Marx’s Ecology in Historical Perspective,”  International Socialism Journal 96, Winter 2002, http://pubs.socialistreviewindex.org.uk/isj96/foster.htm.

[16] James O’Connor, “Capitalism, Nature, Socialism: A Theoretical Introduction,”  Capitalism, Nature, Socialism 1, no. 1 (1988): 11-38,  http://www.vedegylet.hu/okopolitika/O%27Connor%20-%20Capitalism,%20Nature,%20Socialim.pdf.

[17] Joel Kovel and Michael Löwy, “The First Ecosocialist Manifesto,” September 2001,http://green.left.sweb.cz/frame/Manifesto.html.

[18] Joel Kovel, The Enemy of Nature: The End of Capitalism or the End of the World? (London: Zed Books, 2002).

[19] Kevin Andrews, “The Ideological Drive behind the Greens,” ABC News, November 11, 2010,  http://www.abc.net.au/news/2010-11-12/the_ideological_drive_behind_the_greens/41010.

[20] Mikhail Gorbachev, “We Have a Real Emergency,” The New York Times, December 9, 2009, http://www.nytimes.com/2009/12/10/opinion/10iht-edgorbachev.html; Mikhail Gorbachev, “What Role for the G-20?” The New York Times, April 27, 2009, http://www.nytimes.com/2009/04/28/opinion/28iht-edgorbachev.html.

[21] “Jack Mundey,” Sydney’s Aldermen, http://www.sydneyaldermen.com.au/alderman/jack-mundey/.

[22] Noel Moand, “A Spark That Ignited a Flame: The Evolution of the Earth Liberation Front,” in Igniting a Revolution: Voices in Defense of the Earth, eds. Steven Best and Anthony J Nocella, II  (Oakland, CA: AK Press, 2006), 47.

[23] Leslie Spencer with Jan Bollwerk and Richard C. Morais, “The Not So Peaceful World of Greenpeace,” Forbes, November 1991,  https://www.heartland.org/_template-assets/documents/publications/the_not_so_peaceful_world_of_greenpeace.pdf.

[24] Ted Thornhill, “Humans Are NOT to Blame for Global Warming, Says Greenpeace Co-founder, as He Insists There Is ‘No Scientific Proof’ Climate Change Is Manmade,” Daily Mail, February 27, 2014, http://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2569215/Humans-not-blame-global-warming-says-Greenpeace-founder-Patrick-Moore.html#ixzz2vgo2btWJ.

[25] Patrick Moore, “Greenpeace Has Evolved into an Organization of Extremism and Politically Motivated Agendas,” The Wall Street Journal, April 22, 2008, https://www.wsj.com/articles/SB120882720657033391.

[26] John Vidal, “Not Guilty: the Greenpeace Activists Who Used Climate Change as a Legal Defence,” The Guardian, Sept 11, 2008, https://www.theguardian.com/environment/2008/sep/11/activists.kingsnorthclimatecamp.

[27] Richard Lindzen, “The Climate Science Isn’t Settled,” The Wall Street Journal, November 30, 2009, https://www.wsj.com/articles/SB10001424052748703939404574567423917025400.

[28] Steven Koonin, “Climate Science Is Not Settled,” The Wall Street Journal, September 19, 2014, https://www.wsj.com/articles/climate-science-is-not-settled-1411143565.

[29] Steven Koonin, “A ‘Red Team’ Exercise Would Strengthen Climate Science,” The Wall Street Journal, April 20, 2017, https://www.wsj.com/articles/a-red-team-exercise-would-strengthen-climate-science-1492728579.

[30] “NASA Administrator Not Sure Global Warming A Problem,” Space Daily, May 30, 2007, http://www.spacedaily.com/reports/NASA_Administrator_Michael_Griffin_Not_Sure_Global_Warming_A_Problem_999.html.

[31] 同上。

[32] Alicia Chang, “NASA Chief Regrets Remarks on Global Warming,” NBC News, June 5, 2007, http://www.nbcnews.com/id/19058588/ns/us_news-environment/t/nasa-chief-regrets-remarks-global-warming/.

[33] Michael Griffin: “NASA at 50 Oral History Project,” NASA Johnson Space Center, September 10, 2007, https://www.jsc.nasa.gov/history/oral_histories/NASA_HQ/NAF/GriffinMD/GriffinMD_9-10-07.htm.

[34] “Lennart Bengtsson Resigns: GWPF Voices Shock and Concern at the Extent of Intolerance within the Climate Science Community,” The Global Warming Policy Foundation, May 5, 2014,  http://www.thegwpf.org/lennart-bengtsson-resigns-gwpf-voices-shock-and-concern-at-the-extent-of-intolerance-within-the-climate-science-community/.

[35] Judith Curry, “Climate Change: No Consensus on Consensus,” CAB Reviews Vol 8, No 001, 2013, 1-9.

[36] Judith A. Curry, “Statement to the Committee on Science, Space and Technology of the United States House of Representatives,” Hearing on Climate Science: Assumptions, Policy Implications and the Scientific Method, March 29, 2017, https://docs.house.gov/meetings/SY/SY00/20170329/105796/HHRG-115-SY00-Wstate-CurryJ-20170329.pdf.

[37] 同上。

[38] Frederick Seitz, “Major Deception on Global Warming,” The Wall Street Journal, June 12, 1996, https://www.wsj.com/articles/SB834512411338954000.

[39] Larry Bell, “The New York Times’ Global Warming Hysteria Ignores 17 Years Of Flat Global Temperatures,” Forbes, August 21, 2013, https://www.forbes.com/sites/larrybell/2013/08/21/the-new-york-times-global-warming-hysteria-ignores-17-years-of-flat-global-temperatures/.

[40] Christopher C. Horner, Red Hot Lies: How Global Warming Alarmists Use Threats, Fraud, and Deception to Keep You Misinformed (New York: Simon and Schuster, 2008) , 319.

[41] Paul Reiter, “Malaria in the Debate on Climate Change and Mosquito-Borne Disease,” Hearing Before the Subcommittee on Global Climate Change and Impacts of the Committee on Commerce, Science, and Transportation United States Senate, April 25, 2006, https://www.commerce.senate.gov/pdf/reiter-042606.pdf.

[42] James Tylor, “Mosquitoes Ignore Global Warming Predictions,” Forbes, October 5, 2011, https://www.forbes.com/sites/jamestaylor/2011/10/05/mosquitoes-ignore-global-warming-predictions/#7ace656c1b7d.

[43]  Paul Reiter, “Malaria in the Debate on Climate Change and Mosquito-Borne Disease,” Hearing before the Subcommittee on Global Climate Change and Impacts of the Committee on Commerce, Science, and Transportation United States Senate, April 25, 2006, https://www.commerce.senate.gov/pdf/reiter-042606.pdf.

[44] Zoë Corbyn, “Global Warming Wilts Malaria,” Nature, December 21, 2011, https://www.nature.com/news/global-warming-wilts-malaria-1.9695.

[45] James Tylor, “Climate Scientist Quits IPCC, Blasts Politicized ‘Preconceived Agendas,’” The Heartland Institute, April 1, 2005, https://www.heartland.org/news-opinion/news/climate-scientist-quits-ipcc-blasts-politicized-preconceived-agendas?source=policybot.

[46] David Deming, “Statement to the U.S. Senate Committee on Environment & Public Works,” Full Committee Hearing on Climate Change and the Media, December 6, 2006, https://www.youtube.com/watch?v=u1rj00BoItw.

[47] Christopher C. Horner, Red Hot Lies: How Global Warming Alarmists Use Threats, Fraud, and Deception to Keep You Misinformed, 329.

[48] Jonathan Leake, “Wildlife Groups Axe Bellamy as Global Warming ‘Heretic’,” Times Online, May 15, 2005, https://web.archive.org/web/20080906161240/http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/article522744.ece.

[49] Christopher C. Horner, Red Hot Lies: How Global Warming Alarmists Use Threats, Fraud, and Deception to Keep You Misinformed, 110-111.

[50] 同上。

[51] Patrick J. Michaels and Robert C. Balling, Jr., Climate of Extremes: Global Warming Science They Don’t Want You to Know (Washington DC: Cato Institute, 2009), x-xiii.

[52] Christopher C. Horner, Red Hot Lies: How Global Warming Alarmists Use Threats, Fraud, and Deception to Keep You Misinformed, 73.

[53] “Climate Skeptics Reveal ‘Horror Stories’ of Scientific Suppression,” U.S. Senate Commettee on Environment and Public Works Press Releases, March 6, 2008, https://www.epw.senate.gov/public/index.cfm/press-releases-all?ID=865dbe39-802a-23ad-4949-ee9098538277

[54] Judith A. Curry, “Statement to the Subcommittee on Space, Science and Competitiveness of the United States Senate,”  Hearing on “Data or Dogma? Promoting Open Inquiry in the Debate over the Magnitude of Human Impact on Climate Change,” December 8, 2015, https://curryja.files.wordpress.com/2015/12/curry-senate-testimony-2015.pdf.

[55] 同上。

[56] 同上。

[57] Scott Waldman, “Judith Curry Retires, Citing ‘Craziness’ of Climate Science,”  E&E News, January 4, 2017, https://www.eenews.net/stories/1060047798.

[58] Rich Lowry, “A Shameful Climate Witch Hunt,” National Review Online. February 27, 2015, https://www.nationalreview.com/2015/02/shameful-climate-witch-hunt-rich-lowry/

[59] Scott Waldman, “Judith Curry Retires, Citing ‘Craziness’ of Climate Science,”  E&E News, January 4, 2017, https://www.eenews.net/stories/1060047798.

[60] “U. S. Senate Minority Report: More Than 650 International Scientists Dissent Over Man-Made Global Warming Claims Scientists Continue to Debunk ‘Consensus’ in 2008,”   U.S. Senate Environment and Public Works Committee Minority Staff Report (Inhofe), Dec 11, 2008, https://www.epw.senate.gov/public/_cache/files/8/3/83947f5d-d84a-4a84-ad5d-6e2d71db52d9/01AFD79733D77F24A71FEF9DAFCCB056.senateminorityreport2.pdf

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